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2019.8.17
秋田県南部の古民家

8月上旬、日本建築家協会東北支部秋田地域会主催の、県南古民家見学会が実施されました。 県南というと、湯沢市近郊の白井建築が想像されます。しかし、今回は秋田県の木造古民家に焦点を当てた見学会としました。 見学に行ったのは、羽後町の旧長谷山邸他。 長谷山低は豪邸です。木造一部3階建て。3階建ての部分は、蔵の上に載せた構造で、自重は独立柱、揺れは蔵へ渡した控え梁。構造、空間も見事ですが、デティールまでが、素晴らしいできばえ。釘隠しだけでも蝶、蟹等様々な嗜好が。一番驚いたのが、室内にある天井からぶら下がったガスランプ。屋外のガスランプは見る機会は多いのですが、これは室内。初めて見ました。衝撃的。しかもガスが天井内を配管されている。室内照明は、日本では行灯に代表されるように、床面近くの高さが基本です。天井に始めてランプがともされたのは江戸時代「吉原」で、客を引くため明かりを高くしたのが始まりといわれています。しかし、長谷山邸は、そんな知識を木っ端微塵に砕かれた気持に成りました。 現代建築は、コンピューターを駆使した建築で、人間が介入できるのはその一部。しかし、この民家は全て、人間の手仕事によってつくられている。そして、現代建築よりある意味モダン。建築は良く見て歩きますが、地元にもこんな素晴らしい建築があることを知らずにいた自分が、恥ずかしいと思いました。 茂木聡