Column
コラム
埼玉県の県道で、突然道路が陥没し、走っていたトラックが穴に落ちてしまった。救助しようとしているが、1月30日現在、まだ救助ができていない。周りの道路も陥没し、救助隊員が陥没した箇所に行けないためである。この救助は、空から行わないと無理と思われる。知事が自衛隊に依頼し、ヘリコプターで対応すべき物件と思う。無事救出されることを願う。
話の本筋は、事故が起きたからいうわけではないが、行政の怠慢は目に余るものがあるということ。寿命が20~30年程度と言われている地下下水道、すでに造られて60年ほど経っているという。陥没して道路下の土が流され、道路に穴が開いた。ニュースでは解説者がさも当然だと言わんばかりに一年間で同様の陥没は一万か所はあるという。造られたものは壊れる。形あるものは、必ず壊れる。自然の地形であっても、能登地震を見ればよくわかる。日本は地震国である。地中に埋設された部分は、一見地震の影響を受けないように見えるが、地震時には当然大きく動く。寿命及び地震等で壊れることは想定内の事。
秋田県秋田市で大雨による洪水が発生した。かなりの家屋が浸水し、数年たった今でも復旧ができていない家屋も多数ある。実際はそれほど多くの雨は降っていなかった。洪水に見舞われた地域は、田を開発し、水路を地中化した地域。本来地面への浸透と、水路で排水されるべきものが、舗装や水路が埋められてしまったこと、排水ポンプが機能しなかったこと等、行政の怠慢だったと言える内容だった。
建築は目に見えるため、老朽化がわかり、早い段階での対応はしやすい。しかし、箱物行政という言葉があるように、新しい物を造って、古いものはそのまま修繕費もかけない。
ヨーロッパの古い町並みが綺麗なのは、修繕が行われているから。
今一度、足元を見つめなおし、街づくりに邁進すべきと考えます。 茂木聡
あけまして、おめでとうございます。本年も引き続きよろしくお願いいたします。
今年は、構造、設備等、が建築基準法及び確認申請に関する大きな改正があります。どちらも住宅に大きく影響する変更です。構造に関しては、構造計算等の厳格化、設備はCO2削減に向けて、断熱効率、省エネルギー化の推進を進める法律です。
弊社が扱う建築では、大きな影響はないのですが、断熱に関しては、省エネという観点よりも、健康環境という視点から、断熱性能向上は、2030年(再度改正予定)を見越して進めるべきと考えています。
また、工事費の大幅上昇は、設計業界にとって、大きな問題となています。物の値段が上がる、運送コストが上がる、人件費が上がる等で、新築物件が大幅に減少しています。確かに工事費と収益を考えると、ペイしない物件がほとんどとなっています。弊社が扱う医療、福祉施設は、収入が国、自治体により賄われている部分が大きく、工事費が増えたとしても、収入に関する単価を上げることはできません。結果、採算が取れないという判断で改築予定の物件が、改修あるいは中止になる例が増えています。工事費の上昇は止まる目途がありません。
大規模開発、大規模建築は一定数継続して発注されています。大手の設計事務所や建設会社は活況を呈していますが、アトリエ系設計事務所や、地方の建設会社は、大変な時代に突入したと実感します。
変革が求められているのだと思います。生き残りをかけた大きなうねりが目の前に迫っていると思います。
「変革の年、前に進むこと」今年の抱負にしたいと思います。 茂木 聡
10月5日、日本建築士会東北支部女性部会による、国際教養大学図書館見学会がありました。約80名の参加。設計意図を説明してほしいとの要望があり、説明会を行いました。久々に訪れた国際教養大学は、緑が青々と生い茂り建築と環境が同化していました。設計の総括をされた環境デザイン仙田先生の設計思想が具現化された姿だと思います。大学は今年開学20周年。図書館は17年になります。17年たった今でも初めて図書館に入る方々は、一様に空間の美しさに思わず声が出ます。木材がふんだんに使われた木組みと最新の建築技術が融合した姿は、何度見ても美しいとため息がもれます。意匠設計と構造設計のマリアージュ。また同様な機会に巡り合えればと思わされる建築です。 茂木聡
2024年6月より、バリアフリープロモーターに就任しました。大方のメンバーは、大学教員や当事者。民間の設計事務所からは、珍しい選定となりました。任命は、国土交通省。管轄は運輸局。秋田県では私一人。
バリアフリー法は近年、皆様になじみ深くなりましたが、この法律の根本をつかさどる業務をになうメンバーです。定期的な打合せ、各地域のバリアフリー化基本計画作成の促進等を担っています。私は設計者の立場から、かなり具体的な問題点を感じています。これから様々な作業をする中で、少しでも住みよい町づくりに貢献できればと考えています。 茂木聡
ここ数年、建設物価の高騰が止まりません。現実的には住宅の着工件数が大幅に減少するなど、地方経済に大きな打撃を与えています。今年4月からは、運送業の働き方改革等で、運賃の増加、届くのが遅くなる等影響が出始めています。建築設計を行っていて、感覚的にはここ数年で1.5倍から2倍程度上昇しているのでと感じます。建設業は、地方にとって、経済のけん引役を担ってきました。しかし、若い世代は関東近辺へ集まり、高齢作業員が地方に残るという構図。都市の消滅が新聞紙上で話題になっていますが、建築設計をしていると、かなり以前から感じています。秋田県には建築系の学科がある大学は、秋田県立大学と秋田公立美術大学の2校です。sかし、県立大学の卒業生は、おおかた大手志向で、関東圏へ、建築設計にもほとんどむかいません。美術大学は、建築系の学生数が少ないこと、就職は建築以外の道を目指すようです。弊社では、新卒の学生を募集しているのですが、採用は難しい状況です。お知らせ欄でも、常にアルバイト募集、社員募集を行っています。仕事は減っているのですが、若い力で会社を活性化させること、新たなジャンルに挑戦することが必要と感じています。頑張ってみたいと思う学生、地方で頑張ってみたいと思う人たちの場に慣れればと考えています。(茂木聡)