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2023.3.18

厳爽先生が亡くなったのは、昨年2022年12月6日、52歳という若さで、ご自宅でお亡くなりになった。病気が発見されてから約1年8ヵ月間。ご本にはもとより、ご家族の心中はいかばかりだったか、想像できない。厳先生との出会いがいつだったにか、はっきりは思い出せないが、東大に籍を置かれていた時代だったと思う。ご主人の石井先生とも親しくさせていただいたので、お二人がご夫妻であることは、年賀状で知ったことを思い出す。後に厳先生は宮城学院女子大学で教鞭をとられ、素晴らしい研究を続けてこられた。私が設計総合監修を行った三重県津市にある、国立病院機構榊原病院(精神病院)改修において、改修前と改修後の調査を依頼、昨年は病気を押して、改修後の調査を行われていた。3月16日宮城学院女子大で追悼式が行われ、参列した。いろいろな方が話す内容をお聞きし、「生きるとは」ということを改めて考えさせられた。故外山先生が再三繰り返して語られてきた言葉の一つ一つが今、思い出される。

ライフデザイン建築研究所は、4月からの新年度で開所15年目を迎える。厳先生にも弊社で講義をしていただいたことを思い出す。新たな一歩を踏み出すこと、強く考えさせられた。  茂木聡

2023.2.10

日本各地で設計活動をしていると、打ち合わせの労力が大きな問題となります。弊社でも、関東近辺に4か所物件を抱え、定期的に秋田から定例会議、各検査と現場を訪れます。オンラインシステムの性能が向上した関係で、国土交通省も試験的にオンラインでの現場検査を導入しています。当初はなかなか慣れなかったのですが、現在では必要な時に、いつでも打ち合わせができるようになりました。便利なツールです。半面打ち合わせの会議がやたら増えるということも起こっています。一方、施工現場の場合、実際に現地で見て確認したい内容もあります。もう少しオンラインシステムに合った会議方法を考えるべきではとも思います。

各団体との会議も、各地の会員を集めず、オンラインで会議をおこなうのが主流となりました。特に海外と連携する場合は、時差はありますがものすごい威力を発揮します。遠ければ遠いほど移動時間が無くなるメリットは大きいと感じます。しかし、一つの会議に20人程度参加した場合、会議の運営がむずかしいことも事実です。20人全員に意見を問うと一人1分としても20分かかります。議題が複数ある場合、すぐ予定時間がオーバーしてしまいます。また、議論がしにくいこともあります。相対(全員が同じ場所に集まって会議する)の場合は、その場で議論や協議に移行できるのですが、なかなかうまくいきません。最近は、様々な会議が相対に戻りつつあります。

大学でも講義が一時オンライン化されました。しかし同級生ができない、友達ができない等、様々な問題が露呈してきました。極端な例ですが米国の先進企業テスラの社長は、社員のオンライン化を禁じました。思うに適するものt、適さないものを、うまく分け、利用することだと思います。 茂木聡

 

2023.1.2

謹賀新年

今年もよろしくお願いいたします。

コロナ禍の数年、停滞していた世界が、昨年末から動き出しました。しかし、かたや戦争、国際情勢の不安と、いろいろ問題は山済みです。建築の設計は、社会の動きに敏感な職種です。工事価格も一年間で30%も上昇、私が社会に出て初めて経験する異常な世界です。現在はコロナ禍で止まっていた様々な仕事が急激に動いたこと、建設業従事者の高齢化等があり、一見忙しい姿を見せていますが、正常な状況とは程遠い世界であると言えます。2023年は、勝負の年です。

兎年。ホップ、ステップ、ジャンプと進めるのか、難しい局面ですが、弊社は今年、スタッフが二人増える予定です。一人は、大学新卒。福祉施設の設計をしたいとの思いから、弊社の門をたたいてくれました。もう一人は、ベテラン、住宅等では、様々な実績を残してきた人。彼を加えれば一級建築士3人体制となります。

ホップするためには、序盤力を蓄えます。コンペ等の参加できる範囲も平がります。若手、ベテランをを迎え、新たなライフデザインの構築ができる体制となります。

今年一年、努力を重ねます。皆様の変わらないご厚情を、引き続きよろしくお願いいたします。  茂木聡

2022.12.31

2022年中は、皆様に大変お世話になり、ありがとうございました。

2023年も引き続きよろしくお願いいたします。

弊社は、新体制に移行します。スタッフも大学新規卒業生の採用、一級建築士保持者の新規採用と、陣容を強化してまいります。

社会はコロナ禍の長引いた不況、円安、半導体不足等、大変な年になりそうです。その中で、事務所の力をつけ、新たな躍進へと舵を切りました。

新しい、株式会社ライフデザイン建築研究所をお見せできると考えています。

社員一同頑張っていきます。

皆様の益々のご指導、ご鞭撻を、よろしくお願いいたします。

茂木 聡

2022.11.28

今日は11月28日、今年もあと一か月。あっという間に過ぎた気がします。12月8日に東北工業大学大学院で講義。今回は、故京都大学教授外山義先生が亡くなって20年。この機会に、生前先生と一緒に仕事した時代を振り返る内容としました。時間的に言うと、やく30年前に戻ることに。資料を整理し、改めて読みなおすと、今でも新鮮な思い、刺激的な時期だったと思います。先生の思想は、今でも新しく、今だからこそ必要な思いかもしれません。老人施設のユニット化は、先生が亡くなった後、行政が引継ぎ制度化されました。ただ制度、基準には、心は入りません。形式だけが独り歩きし、そこに高齢者の悩みや苦しみは忘れられ、規則だから合わせればよいと言う思いが感じられます。20年前、私が書いた文章には、ユニットには限界があると明記していました。外山先生が当時悩まれていたことが私の言葉で出版されていました。忘れていた思いをひも解いて、初心に帰る。なぜユニットだったのか、ユニットケアなのか。議論はずいぶんされたのですが、気が付くと20年。今ユニットは、福祉にかかわる人間には当たり前のこと。生前、先生はユニットの制度化は、望んではいませんでした。それは、今の姿を想像できたからでしょう。ユニットは儲からない、スタッフの負担が大きい等さまざまな観点から論じられ、それが当然だという論調が多くを占めます。しかし、日本で初のユニット型施設を造ったときも、同じだった。でも、一番大きく違うことは、ユニット化全室個室を望んだのは、地域に住まう住民の総意だったこと。福祉施設を運営する多くの団体は、収益をもとめ、ユニット化を行います。しかし、形式では収益は増えません。制度ではなく、運営そのものを見直すことで、新しい道が見えてくるはず。20年前、やっと日本の高齢者福祉施設は大きな扉を開けた。今扉は無いけれど、また新しい扉を開ける時だと思います。その象徴が在宅ケア。過渡期をつないだものがユニットケアだったのだと、今思います。 茂木聡