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2020.7.7
大雨による福祉施設被害

熊本県で大雨で、多大な被害が発生し、多くの方がお亡くなり、また被害にあわれました。避難中の方も多数います。早く復旧することを願うばかりです。
大雨、洪水等で、毎回のように福祉施設の被害、避難について指摘されます。今回も特別養護老人ホームが被害にあわれました。新聞等の論調では、避難訓練がダメとか、低い土地に立地することは避けるべきとの指摘が出ています。もっともなことです。しかし、福祉施設を町中に設置するようになったのは20~30年の間です。それ以前は、山奥に設置され、表現は悪いですが姥捨て山と指摘されてきました。それが極力町中の通常の住宅街に設置しようとの考えは正しいと思います。しかし、日本の町の通常の住宅地の多くは、大雨による洪水と隣り合わせた環境であることも事実です。また、今回被害にあわれた施設は、特別養護老人ホームです。入居条件が介護度3以上。入居されている方々は、当然自力では避難できません。スタッフがお一人お一人を避難させる以外に方法はありません。日中でしたら介護スタッフの人数も多く、ある程度対応可能でしょう。しかし夜間の場合は、スタッフの人数(入居者20人にスタッフ1人程度)が限られていますので事前に想定してスタッフを集めないと対応は不可能です。垂直避難が必要との指摘もありました。しかし、災害時、エレベーターは使えません。スタッフ1人で入居者を担いで上がるしかありません。現実的には大変な労力であり、時間もかかります。結果、逃げ遅れるということも想定されます。では、どのようにしたらよいのでしょうか。スタッフの数を増やすのが一番簡単なのですが、現在の介護保険等を含めた福祉施設の収入では不可能です。また現在の日本の財政が、今以上の福祉予算を増やすことは無理でしょう。住みよい場所に入居者を集めることは、無理ということになります。また、昔のように、山奥に設置するのでしょうか。
今、福祉施設は大きな曲がり角にあります。家庭内で介護ができなくなった方々を住まわせる施設。
大いに考え、議論すべき時だと考えます。施設に責任を持たせるのではなく、国全体、国民全体で考え、対応すべきと思います。  茂木聡