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2015.11.10
杭の偽装問題を考える。

マンションの傾きから端を発した、支持杭のデーター偽装問題は、まだまだ終局はむかえないと思える。現在は、旭化成一社の問題となっているが、調査が進めば、別の会社からも、改ざんされたデーターが見つかる可能性がある。支持杭の場合、通常試験杭を立会いで行い、確認し、そのあとの杭施工は、工事監理が常駐監理体制でない限り、定期的に出されるデーターを確認する程度しか行われてこなかった。工事現場の管理を信頼し、確認印を押すのが常態化している。以前起こった構造計算書偽装問題も同様、構造設計者を信頼したところから、始まった。建築工事は、工事監理の立場では、様々な確認作業があるが、全数を確認するのではなく、抜き打ち検査的色彩が強い。意図を持ってデーターを改ざんされれば、通常見抜くことは難しい。問題を起こした原因は、工事予算、工期の両面が考えられる。大方の場合、近年の杭は、無駄がなく高性能なものになってきたため、受注生産が大方であり、想定した長さで施工し支持層の届かなかった場合、杭を再発注することになる。そのため、工期延長、工事費アップは避けられない。しかし、昨今の建設事情は、高騰しすぎた工事費の抑制、工期の短縮が大きな課題となっている。現段階では、いかに建設会社及び杭施工者と緊密な関係を築くかによることに尽きるかと考えます。 茂木 聡