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2017.9.4
ジャコメッティ展を見る。

東京の新国立美術館でジャコメッティ展を見てきました。9月4日までだったので、仕事の合間を縫って、見学しました。いろいろな展覧会を見学してきましたが、これほど感動した展覧会は、初めてでした。写真での知識しかなかったため、小さい作品が多いイメージでしたが、実物はある意味巨大に思える作品もありました。作家曰く、真実を表現しようとすると、作品がどんどん小さくなってしまうとのこと。確かに小さい作品も多数展示されていましたが、興味を引いたのは、大きな展示物。3mはあろう人物像は、ものすごい迫力でした。苦悩に満ちた姿、極限まで削り取られた形態、作家は一体何を言いたかったのか、考えさせられます。見事な形態は、犬と猫で一番発揮されているように感じました。犬は陋見であろう姿でつかれきっている。猫は、何事にもお構い無しに生きている。この2匹の動物を見たとき、ジャコメッティの目は真実を透かしてみていることを、痛烈に感じました。犬は完全に私の中に生きている犬であり、猫は完璧に私が知っている猫でした。やはり人間もそうなのでしょう。強烈なインパクトを受けた作品展でした。 茂木 聡