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2013.10.26
第6回社内研修会

10月19日(土)14:00から第6回社内研修会を開催しました。今回は、弊社開設5年目の記念日にあたり、「開設5年セレモニー」として、特別記念講演という位置づけでおこなわれました。私にとって、建築設計の転機は何度かありましたが、その中で一番大きなものが、故外山義京都大学教授との出会いでした。師は50歳代前半で亡くなりましたが、私の心の中では今でも生き続けています。今回講師としてお迎えした大阪市立大学教授三浦研先生は、京都大学時代、外山先生の助手として活躍され、何度も様々な教えをいただいたこと、一緒に仕事をしたことを考え、特別記念講演は是非三浦先生にと考え、お願いし、実現しました。大変お忙しい中、大阪からおいでいただき、感謝申し上げます。また、同行された大学院生、辺美礼さんにも感謝いたします。 講演は、三浦先生が近年研究されているマギーズセンターの話を中心に人の生死とその環境について、昨年英国に研究にいかれた調査を元に話されました。最近では、マギーズセンターも日本でたまに聞くようになりましたが、その実態について、調査研究をされている方は、私の知るかぎりでは、三浦先生お一人です。マギーズセンターは、現在は、財団として運営されていますが、始まりは、建築家チャールズ・ジェンクスの奥様マギー(造園家)が癌でなくなられたことから始まっています。病院で癌を宣告され助からないことがわかったとき、人はどのようにあまりにも短い生を過ごすのか。マギーズセンターはその思いから相談所としての役割を中心に担っています。しかし、敷地は大病院の一角に建設され、造園と建築が一体となったもので、相談コーナーや図書室等を備えた小規模(280m2程度)の建物です。しかし、現在建設された建物がいずれも有名建築家の設計によるもので、どれもすばらしいものばかりです。そして設計者はボランティアで設計をおこなっています。いまでは、マギーズセンターの設計をすることがステイタスになりつつあるとのことでした。三浦先生が直接各施設を訪れ、調査された写真等を解説されました。トイレは泣く場所という定義や、色彩豊かな内装、建築と造園が一体となった景観は、すばらしいものでした。外山先生も生と死の建築、老人施設を調査研究し、世界的に有名になりました。そして、外山先生の助手をされた三浦先生も、生と死の建築、マギーズセンターを研究されている。建物の種類は違っても、根本的部分は同じであることを感じます。講演を伺い、本物を見てみたいと思っています。大変心に残る講演でした。 茂木 聡