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2016.5.27

お知らせのコーナーで告知した内容の詳報です。 シンポジウムを企画し、日本建築家協会、日本建築学会の共催で開催されることとなりました。事の発端は、湯沢市が白井氏設計の旧雄勝町庁舎を解体する方針を発表したことです。白井晟一と言う建築家は、戦後日本を代表する建築家として、全国に知られ、毎年多数の若者が秋田県に多数ある白井建築を見に来ています。代表作は親和銀行(九州)の一連の作品ですが、初期の作品が多数存在する秋田県は、白井建築の基礎となるデザインを知ることが出来ます。湯沢市だけで7件が現存していて、素晴らしい財産となっています。そのうち6件は民間所有で、保存されていますが、市保有の旧雄勝町庁舎が、市の方針で解体されようとしています。これらの話が日本建築家協会の秋田地域会で議論となり、保存運動を盛り上げようと企画したことが始まりです。2年前、私が秋田の会長をしている時、建築家協会と建築学会で保存のお願いを、市長宛提出しましたが、一切の対応をされてきませんでした。昨年末、突然、市長が解体したいと議会に提案し、本年6月定例市議会に解体予算を計上する話となってきました。建築家協会としては、まず、建築の価値を知ってもらおうと、本シンポジウムを企画、開催することとしました。市長は、とりあえず、6月議会に解体予算の計上はやめると説明をもらうことが出来ました。しかし、解体が取りやめになったわけではありません。解体後どうするかの問いに、駐車場にするとの回答。シンポジウムには、白井建築を愛する著名な方々を講師にお迎えしました。京都工芸繊維大学教授 松隈洋先生、宮城学院大学准教授 崎山俊雄先生、もと秋田県立大学教授 安原盛彦先生、白井晟一氏の孫で白井建築研究所 白井原太氏、兼松設計 兼松紘一郎氏の5名です。たくさんの方々に集まっていただけることを願っています。 茂木 聡

2016.5.6

5月の大型連休を利用し、韓国のソウルへ行ってきました。韓国へ訪れたのは、ライフデザイン建築研究所を設立する前、十数年ぶり。変貌ぶりに驚嘆しました。ホテルは以前同様、高級ホテルは、海外資本が中心で、ホテル事情は現在も同様でした。しかし、一般の建築群は、完全に現代建築に様変わり。私が訪れた場所の関係もあったでしょうが、どこの国にいるのか、帰国し写真を見ると、特に判断できないような状況でした。経済的に好転してきた韓国は、建築もインターナショナルスタイルで、昨年訪問した、上海と、どこが違うのか、判別がつかない感じでした。建築を設計する立場からすると、当然の結果と言えるでしょうが、外国人から見た場合、少し寂しさを感じました。これは、日本でも同じことが言えるのでしょう。日本国内を仕事で移動するたび、駅前のパターン化された姿に、むなしさを感じます。しかし、建築雑誌を見ると、確かに、どこの国に建っていてもおかしくない、デザインが主流となっています。今一度、建築をデザインする時、その地にあったデザインを心がけるべきと再認識しました。現在、日本建築学会東北支部作品賞選定委員をしていることもあり、来年の選定では、十分留意すべきと思いました。 茂木 聡

2016.4.18

故京都大学教授 外山義先生。私は師が東北大学助教授時代から、老人福祉の建築設計及び研究に関わらせていただきました。先日、仙台にある外山先生のご自宅に、奥様、真理さんのご招待をいただき、うかがいました。東北工業大学教授石井先生、宮城女子学院大教授厳先生ご夫妻とも一緒でした。ご自宅の2階に師が30歳頃書いた外国の病院設計図面(手書きの原図)を拝見しました。現在でも通用する平面計画、デザイン、精密なスケッチ。30歳の作品とは思えない精巧なものでした。模型写真もあり、楽しく拝見しました。年代的に考えると、スウェーデン留学直前の作品かと思われます。後にスウェーデン王立工科大学に留学され、7年間、学位を取得され、日本に帰ってこられました。私は、秋田県鷹巣町(現北秋田市)に建設予定の「ケアタウンたかのす」の設計を行っていて、師に、様々ご教授いただき、同作品を完成することが出来ました。設計中は東北大学に勤務されいて、月1回は訪れたご自宅でした。考えてみると十数年ぶりの訪問でした。懐かしい空間、久々に緊張感と良い刺激を受けた時間でした。後に先生は、京都大学教授になられ52歳の若さで、他界されます。約8年間、月一度は打ち合わせさせていただき、様々なことを学ばせていただきました。今思えば、大変贅沢で、濃密な時間だったと思います。日々設計活動を行っていると、惰性で仕事をしてしうことがある自分に対し、とても新鮮で刺激を受けた1日でした。いつか先生の作品及び様々な業績をまとめ、発表する機会を作れればと考えて、帰路に着きました。   茂木聡

2016.3.24

岩手県奥州市にサービス付高齢者住宅とデイサービスの起工式が、本日行われました。補助金の確定を待って、着工します。今回の施設は、地元企業が建設し、地元の福祉法人が運営するものです。弊社は、全体監修という立場で関わっています。実施設計等は施工会社が行う、デザインビルドの形をとっています。普段の設計体制とは違い、楽な面と難しい面があり、良い経験となります。より良い建築を目指し、最終打ち合わせを行っています。  茂木 聡

2016.3.19

現在監修業務を行っている津市の精神病院から、電車で30分の場所に、伊勢神宮があります。建築設計の仕事をしていながら、出雲大社は見に行っていたのですが、伊勢神宮は行ったことがなく、今回、空いた時間を利用して見に行きました。神社と言うイメージとはかけ離れた、壮大な敷地とスケールに圧倒されました。20年に一度の遷宮は、技術の継承にあった理想的な考え方であり、目の前にある建築が大昔の建築そのままを継承したものであることに、大きな力を感じました。同時に、日本人が、欧米に比べ、建築を建て替える周期が短いことへも関係しているのかなという考えも浮かびます。木造建築とは何か、深く考える必要があることを改めて思いました。短い時間で廻ったこともあり、表面的な観光になってしまったことが残念で、いずれ、ゆっくり時間を作って再度訪問したいと思っています。 茂木聡