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 コラム

2023.10.20

10月14日(土)秋田市のアルヴェで、日本建築家協会東北支部秋田地域会主催の講演会が開催されました。講師は白井晟一氏の孫にあたる、白井原太氏。原太氏の建築家として活躍する傍ら、祖父の建築をいかに存続させるか活動されています。今回の講演内容は、具体的活動と考えについて、お聞きできました。白井晟一は、建築界では孤高の建築家と評され、独特の作風で知られています。しかし、建築されてから時間がたち、解体されたものも多くあります。さまざまな存続運動も行われてきましたが、あまり成果はなかったようです。原太氏は、ご自身のネットワークを駆使し、個別に改修、生き続けられる建築として保存再生を行われています。講演ではその実際のお話しと様々な苦悩をお聞きできました。会終了後、懇親会の席で、様々なレアな話をお聞きしました。顧みて、自分が設計してきた建築は、おそらくかなり壊されたと思います。先日35年前に設計した診療所のオーナーから改修の連絡をいただきました。綺麗にお使いいただいている姿を見、うれしくなりました。解体されることは、建築の寿命が尽きたことですが、尽きた原因は何か、改めて考えさせられました。  茂木聡

2023.8.15

近年の気候は、大きく変化している。SDGsが叫ばれ、環境破壊が問題視されている。しかし、これらも若干の影響はあるだろうが、根本問題はもっと違う大きな変化が地球におこっているのではと推測する。日本の夏の気候は、熱帯に近づいているように思う。以前タイやフィリピンに行ったときを思い出す。しかし冬はとても寒く、大雪の年も多い。おそらく地球誕生以来、このような変化は数えきれないだけ起きてきたのだろう。その一環ではと思う。では、我々は生き延びるためにどうするべきか。ひたすら順応するしかない。建築設計で言えば、断熱化の性能アップと、廃材の処理問題。昨今自然エネルギーを利用した発電は、注目を浴びている。しかし、太陽光パネルにしても、寿命は短く、まだ完全な処理方法はない。風力発電にしても発電する装置の寿命は数十年。桁違いの大きな装置の処理問題はこれから。結果、昨今の昨今の先端技術は、問題の先送りで成り立っている。今から急に数百年前の生活レベルに戻れとは言わない。しかし、あまりに便利になってしまった生活に慣れ切った人類は、大きなしっぺ返しを与えられているのかもしれない。地球にとって、わずかな変化、人類はいかに無知で、弱い存在か。まず己を知ることから始めるべきではないだろうか。 茂木聡

 

2023.7.24

秋田市では、観測史上初となる大雨が降った。秋田市の中心部秋田駅の東側は、全面水没し、現在復旧作業が行われている。水害被害にあった住宅が、秋田市にある家屋の20%にあたるという。問題は、高齢者のお宅が多いこと。私が訪問し相談に乗っているお宅も後期高齢者夫妻。床下の泥を書き出すこと。乾燥させて、全面消毒を実施することをお話ししているが、年金暮らしでは、ハードルは高い。県では8万円の補助を出すといっているが、全く足りない。また、ボランティアを含めた様々な方が、手伝って出したごみの処理も間に合っていない。考えてみると、今回水没した地域は、川が氾濫した場所ではない。雨水を排水管が処理できなくなってあふれたもの。同じ雨量でも全く水が上がってないエリアが多い。だから秋田市に住みながら、被害に実感がわかない。今回水没したエリアは、急な開発がすすめられた地域。新しい街のため、一見整備がなされているように思えたが、実態はひどい状態であったことがうかがえる。今、秋田市では、外旭川地区という秋田市の外れの農業エリアを開発しようとしている。順番は、市街地の強靭化が先と考える。そのうえで、新規開発をすすめることが本来の姿ではないか。 茂木聡

2023.4.23

4月22日(金)JIA秋田地域会主催で、構造設計者 山田憲明氏の講演会が開催された。3年前に一度企画したが、新型コロナ感染症が全国に広がり、中止した企画。

コロナ禍も落ち着き、今回無事開催することができた。

木構造の権威であり、過去には、国際教養大学図書館、秋田ノーザンゲートブリッジ、フェローホームズ高松の家の設計で、仕事をご一緒させていただいた経緯がある。今回の講演の中で、最先端の木構造設計の今を見せてもらった。近年、都市木造が盛んに話題になり、個人的にはその価値性に疑問を持っていた。氏の講演を拝聴し、これぞ木造建築だ、このような建築を見たかったのだと思った。設計活動に非常に刺激をもらった素晴らしい講演だった。

2023.4.6

令和5年度は、大学卒業の新人を採用しました。会社に新しい風くが吹いています。仕事はどうしてもマンネリに陥りやすい。今年2月に1人中途採用し、4月に新人を採用。事務所を開設して14年。15年目を前に内部体制の充実を図っています。

以前、本コラムでも書きましたが、親しくしていた宮城学院女子大学教授厳先生が亡くなられました。52歳という若さ。3月に大学葬に出席、6月と7月には追悼式典が予定されています。ご主人の石井教授とも親しかったので、人が亡くなることの大きさを、改めて感じる日々です。

コロナ禍は大方おさまり、また以前の町に戻ろうとしています。しかし、何か穴が開いたような虚無感を感じます。人間関係が希薄になったよう。オンライン会議も増えましたが、なかなか真意が伝わらない虚しさ、いらだたしさ。

新しい世界だと思って、進むしかないのかもしれません。  茂木聡