Column
コラム
建築設計者が関係する建築関係団体は、多数ありますが、大きなものは、3団体でしょう。
公益社団法人 日本建築家協会
一般社団法人 日本建築士事務所協会
一般社団法人 日本建築士会
それぞれ特徴があります。
日本建築家協会は、建築設計をする人で一級建築士を持ち、実績を持ち、建築設計事務所に所属する人たちの団体で、日本全国で一団体です。
日本建築士事務所協会は、建築設計を行う設計事務所の団体で、施工会社の設計部もメンバーとなります。原則各県単位で独立した組織です。
日本建築士会は、建築士の免許を持っている人間の団体で、施工者も含まれます。
このように、それぞれ全く違う団体ですが、会員は重複している人が多数います。
コロナ禍で、全国大会が中止になり今年、3団体とも3年ぶりに全国大会が開催されています。それも10月初旬 事務所協会(熊本県)、10月中旬 建築士会(秋田県)、10月下旬 建築家協会(沖縄県)。
それぞれ内容は違いますが、1,000人を超える会員が集まります。
わたしも以前は建築家協会全国大会に毎回参加してきました。
しかし、今年はどの団体の総会にも参加していません。
疑問を感じているからです。オンライン会議が普及して、遠隔地でも会議が普通にできるようになりました。しかs、オンライン会議の限界も明確に見えてきました。その意味で会うことは否定しません。
ただ同時期に、会員同士が重なることが多い団体同士が、これほど遠隔地で3週間連続で開催されること、果たして意味があったのでしょうか。
勉強会だと言う人もいます。お祭りだと言う人もいます。このまま続ければ、各会の幹部を中心に出席するような総会になっていくでしょう。それだけ負担が大きいのです。
そろそろ考えなければいけない時期が来ている。手遅れにならないうちに全国大会のような大きな会は、3回が協議していく必要性を強く感じます。(茂木 聡)
設計事務所にとって、6月は新年度の仕事が一斉に始まる時期です。弊社も継続事業、新たな物件の相談、そしてプロポーザルコンペ。
プロポーザルコンペは、大いに参加したいのですが、参加条件が厳しかったり、スケジュールの都合で断念したり。
そしてコロナ禍、急激に普及したのがオンライン打ち合わせ。講演会や勉強会、海外との打ち合わせには最適ですが、多数が参加する会議には不向きだと感じています。
また建築設計では、詳細はやはり原寸図でなければわからないものが多くあります。
最近では、コロナもかなり終息したこともあり、直接会う打ち合わせ+オンライン会議と、毎日が打ち合わせだらけで、デスクワークが進まないことも痛感しています。
茂木聡
令和4年の新年度が始まりました。設計事務所にとっては、新年度は各作業の継続中のため、年度という区切りは無いのですが、一般社会は新年度という区切りの時期にあたります。
弊社は積極的に学生アルバイトを募集し、一緒に建築をつくることにより、学生にとってより現実的に設計の世界を知ってもらう試みを、会社創設時より行ってきました。
アルバイト卒業生は、現在、日本のみならず、世界で活躍しています。皆一流企業で活躍しています。我々スタッフもうれしい限りです。また学生から様々な刺激をもらいます。
アルバイト学生は、地域柄県内の学生に限定されてしまいますが、秋田県立大学、秋田美術工芸大学、秋田高等専門学校の方々です。現在も皆さん、頑張っています。
興味がありましたら、遠慮なく声をかけてください。
弊社は、引き続き今いただいている仕事の邁進、そして新たに始まるであろうプロポーザルコンペに積極的に応募して行きます。
引き続き、皆様のご支援を期待する次第です。
ロシアのウクライナ侵攻が連日話題になっています。日本とロシアの地勢的距離を考えると、対岸の火事とは言えないでしょう。
現代の戦争がどういうものか、あらためて考えさせられます。国という概念は何なのか、自治があり、それがせ世界各国から認められ、独立として運営されるものと考える時、国の定義があまりにも曖昧であることに気が付かされます。世界が米ソの冷戦時代を過去のものとした今、世界がグローバル化した時に起こった戦争。日本では感じえない陸続きでありながら国境がある。私たちはヨーロッパを旅行した時、国境をあまり意識せずに移動できます。ひとたび戦争がはじまると、国というものが全面に出てくる。不思議な概念です。
私は日本で生まれ育ったので、国境というものを意味あるものと感じない。日本という国が戦争を経験し、自国を守るために多くの人間が亡くなった事実、これはとても重いことなのだけれど。
今、インターネットの世界には、国境は存在しない。確かに国にっては自由にネットを検索できない事実もあります。しかし、我々が知るインターネットの世界は、全体を100とすると、約5の世界。つまり各国が規制する世界は、その5の部分。大方は規制外の世界。
今、戦争で多くの人が亡くなっている。これは一般国民に限らず、兵士も。
新型コロナウイルスの世界蔓延で、国境の意味が無いことは、世界中が痛感したこと。
どんな結末が待っているのか、わかりませんが、世界は確実に変わっていることを痛感します。 茂木聡
医療・福祉施設の設計を多く手掛けていると、物理的動線としての死は、絶えず考えます。しかし、実際の死は、ここに無限大の世界をもって存在しています。私は比較的早く、両親を亡くしました。その時は私の子供たちも小さく、日々の生活に追われ、また同居していなかったこともあり、死にたいする実感がつかめなかったと感じます。仕事仲間の友人のお母さまが亡くなったとの訃報を聞きました。九十歳後半。しかし、彼の追悼の文章を見て、思わず涙してしまいました。その背景を垣間見ることができたからです。彼の日々の対応が、その生まれ育った環境にあったのだと知りました。
昨今、新型コロナ感染症の蔓延もあり、新聞誌上では、今日は何人が亡くなったという記事を眺めています。しかし、その一つ一つに、人生があり、関わってきた人々が大勢いること。余りに無関心でいる自分に、恥ずかしさを覚えました。
建築設計の原点は、人が生きていく器を造ること。こと一番大切な部分が、昨今抜け落ちてしまったように感じます。 茂木聡